TOP > HOME > 前略、あなた様へ | ||
|
生きる 〜 苦しみや哀しみと闘う人々へ 〜 ■ 前略、あなた様へ 〜 Web Letter ■ | ||
|
拝啓 謹賀新年。 謹んで新春のお慶びを申し上げます。 本年も、どうかあなた様にとってよいお年でありますように。 2001年も過ぎ去りました。昨年はあなた様にとってどのようなお年でしたでしょうか。1年を振り返ってみて、よいお年でしたでしょうか。顧みて、僕にとってどんな一年であったか。それを今、想っています。 何時の頃には未来であったはずの“明日”も、今は“今日”です。何時の頃には悲しみと苦しみでしかなかった“今日”も、今は“昨日”です。 今日という日は昨日という日のためにはない。なぜなら、人は過去を振り返ることはできても、そこへ再び辿ることは叶わないから。昨日という日は、振り返るだけの存在。明日という日は、眺めるだけの存在。だったら、果たして今日という日は何時のためにあるのか。 人は“今日という日”しか生きられない。永遠に、“今”しか生きられない。だったら、今日という日は、今この瞬間のためにあるのかもしれない。 今を懸命に生きたいと願います。今日を、惜しむことなく生き切りたいと願います。そしてそれが、昨日という日を、今日という日を、明日という日を、生き切ることに繋がるのなら。 そしてそれが、命そのものを生き切ることに繋がるのなら。 平成14年新春 |
| 花田久成 |
|
拝啓 近頃は街中を吹く風もいよいよ冷たさを増し、これから訪れる本格的な冬を感じさせる今日この頃です。病気になる以前は、冬のあの早朝の冷たい大気の中を切り分けて毎日自転車で学校へ通ったものです。またあの頃に戻りたいかと問われればさしてそうは想いませんが、ちょうど病気を発症したのもこの頃のことでした。あの頃のことが妙に懐かしく感じられます。あなたにおきましてもお元気にお過ごしのことでしょうか 無菌室を出て幾日が過ぎたでしょうか。今は身体の調子もすっかりと好くなり、毎日パソコンの前に座るか病院の中を歩き回って日々を過ごしています。表面的な体調は好くなったとしても僕の病気は血液の病気です。血液の状態(癌細胞の数)が好くならなければそれは病気が好くなったとは実はとてもいえないのです。血液の状態の方は相変わらずの状態です。悪くなっていないことを良しとして日々を過ごしています。そしてそれはとても感謝すべきことだと思います。相変わらずの病院生活も、この度の入院でも40日を越えました。この頃になってくると、さすがにシャバの空気が懐かしくなってきます。 ちょうど今頃の季節だったと思います。以前ある人に『幸せは存在するか?』と真剣な眼差しで尋ねられました。僕は同じく強い瞳で幸せは“ある”と返しました。僕はこの返答をすることに何等迷う所はなかった。僕にそう問うたその人は、真剣にそのことについて思い巡らせていたような印象を受けました。そしてその時の僕は、『幸せとは自身で見出すものだ』と応えました。幸せとは『私は幸せですよ』と看板をしょって歩いているのではなく、幸せとは『これは幸せなのだ』と自身の中において見出すより他に存在し得ない。そう、偉そうにその時の僕は応えました。今にしてもそれは間違いではないと思います。その人はその応えに対してどう感じたのか。今となってはそれを知るすべは僕にはありません。それからもう1年近くが経つでしょうか。再び同じこの季節が廻ってくると、その人は今どうしているのかと、今更ながらに思い起こされてなりません。 それでは、以上近況まで。広島でも幾日か前に初雪が観測されました。いよいよ寒さも徐々に本番が近づいてまいります。くれぐれもお身体にお気をつけになり、ご自愛くださいますように。 平成13年11月18日 |
| 花田久成 |
|
拝啓 暫くご無沙汰しておりました。外の空気はすっかり冬の装いを呈してまいりました。朝夕の風は少し肌にきりりと心地よく、いよいよ寒さもこれから徐々に厳しくなる様を感じさせます。肌にきりりとする初冬の風、しかし、それがまた心を吹き抜けるような清涼感をもたらしてくれます。僕はそれがとても好きです。それと同時に、幾分寂しげな想いも運んでくれます。 あなたにおかれましてはいかがでしょうか。僕の方は、あれから徐々にですが順調に体調を取り戻せています。今ではもう無菌室も出ることができ、病院内であれば自由に出歩くことのできる4人部屋に移ることができました。さすがに20日以上無菌室で寝たきりの生活を送ると、筋肉の衰えも決して軽くはありません。暫くは歩くことさえままならなかったのですが、今ではすっかり病院内の散歩を楽しめる毎日を過ごしています。しかし、そうはいっても病院の散策は半日もしない内に飽きてしまうので、毎日毎日フラフラフラフラ病院内をふらついております。これでは何のために入院しているの分からないぞと、それが自分でも可笑しくあります。 ここの所はすこぶる体調も好く、一時期なりかけた肺炎の後患いや、心臓の機能の低下による身体中のむくみもすっかり取れてきました。ステロイド(薬品)の副作用が少し出て、それで顔がずいぶんとむくんでいた時期もありました。しかしそれも今ではすっかり取れて元の顔に戻っています。身体中がむくんでいた時にもしもお会いできていたなら、あなたはきっとずいぶん太ったことだとお思いになられたでしょうね。そしてそれは概ねあたっていました。今ではそうでもありませんが、お腹のお肉が前へ前へと前進しようとし過ぎて、一時歩くのもしんどい時期があったくらいです。それらの副作用も殆ど抜けて、今ではすっかり良好な体形と日々をすごしています。 何より喜ぶべきことに、入院時には90%を超えた抹消血中の癌細胞も、今日の検査ではなんと1%前後に下がることができました。これはとても嬉しく思います。入院した時はこのまま退院できないことも当然の覚悟の上でしたが、こうして今良好に過ごせていることに心から感謝します。心からありがたいと想います。そして少しでも好い状態が永く続けばと願わずにはいられません。あのまま癌細胞が減らなければ、そのままポックリ逝っていてもおかしくない身ではありました。にも拘らずこれだけの中間結果を得られたということが、自分は相変わらず悪運の強い奴だと、自分でも自負と安堵と共に笑っております。しかしこれが永い々々闘病生活の中での中間結果だと思うと心も晴れ切りません。僕は骨髄移植を受けることができなければ100%の確立で治ることができないと既成事実のお墨付きをいただいています。最初の再発の時にも、主治医の先生にも教えていただきました。 それでは、以上近況まで。冬もいよいよこれから到来しようかという時期にあります。風邪など引かれぬようお身体にお気をつけ、くれぐれもご自愛くださいますように。 平成13年11月12日 |
| 花田久成 |
|
拝啓 暦はもう11月に入りました。早いもので、短い秋も秋も残り少しと季節も移ろいゆきました。残念なのは、ここからでは全く秋の気配が伺えないということです。紅葉するはずの木々も見れませんし、秋の空もガラス越しに伺うだけです。移ろいゆく空気の妙も感じられるはずもなく、少し寂しい想いで過ごしております。どうですか。そちらの方は。みなさんお変られずにお元気にお過ごしのことでしょうか。 今日もまた病院の無菌室からお手紙させていただいております。もうこの度の入院をしてから、後数日で4週間ばかりになるでしょうか。以前にもお話したとおり、ここ3年来ずっとこのような生活を続けております。2週間から40日、大体その位のまちまちのペースで入退院を繰り返し、今に至ります。もう何度入退院を繰り返したでしょうか。もう何度ここで暦を刻み、季節を過ごしたでしょうか。今となってはよく思い出せないのが残念に思います。ただひとついえるのは、僕も季節と同じく移ろいゆくものだったということ。人も季節も、移ろいゆきますね。よく人から聞く話ですが、人の心や想いも移ろいゆくものなのですね。 ここしばらくは落ち着いていたのですが、今年の5月頃から再び病状がよくなく四苦八苦しています。3、4日前は酷くしんどい思いをしました。肺の調子がおかしくなり咳が止まらなくなったり、抗癌剤の副作用で免疫力が極端に低下して、そのせいで妙な感染症にかかってしまったのです。おかげで連日39.5部前後の熱が収まらず、いちばん酷い時には39.9部まで熱が上がりました。そういう時は解熱用の座薬を使うのですが、日頃から使い過ぎていてその時は余り効かなくなっていて、高い熱が収まらず往生しました。それも深夜から早朝にかけてずっと続くのです。日中は幾分楽ですが。ここしばらくそんな調子だったのですが、やっと昨日今日になってそれも収まってきました。あのまま暫くの間熱が収まらなかったら今頃どうなっていたかと、また少し命拾いをしたのだという心持でいます。相変わらず悪運だけは強いのが僕の取り柄ではあります。 さて、それでは以上近況まで。あなたの最近のご様子もお聞かせくださいませ。最近もお忙しいのでしょうか。もし宜しければお聞かせください。お待ちしております。くれぐれもお身体にお気をつけになって、ご自愛くださいますように。 平成13年11月01日 |
| 花田久成 |
|
拝啓 ここ最近はすっかり外も秋らしくなってきたようです。日中はそれほどでもないのですが、朝晩は徐々に冷え込むようになって、次第に深まる秋の気配を感じさせてくれるそうです。僕の方は相変わらずの病院暮らしですが、あなたにおいてはいかがでしょうか。その後変らずにお過ごしのことでしょうか。それにしても、外の様子のことを人伝にしか知ることができないのを残念に思います。 さて、突然ご連絡差し上げますご無礼をお許しくださいませ。これといって大した用事があるわけではないのですが、あなたの様子がその後気がかりでおり今になってご連絡差し上げました。その後便りが途絶えて久しくあります。僕の方はもう永らく闘病生活を送っています。もう3年来になります。何度かいい時と悪い時を経て、今年の5月頃に白血病の2度目の再発を経て今に至ります。白血病というのはいわゆる血液の癌で、新聞やテレビくらいで名前くらいはご存知であるかと思います。僕もこの病気になる前は、名前くらいしか知らない病気でした。まさか自分がなるとは、夢にも思っていませんでした。どこか遠い世界の話であったように思っていました。 お察しの通り、今も病室に入院中です。もう入退院を繰り返して永くあります。お互い元気であった頃と今とでは、到底昔の自分のようにはいきません。3年来ずっときつい抗癌剤漬けの日々を送っておりますので、身体の方ももうぼろぼろです。とても19歳の身体のようにはないと思います。それ以上に、とても19歳の精神状態ではなくなってしまったようなのが、ある種自分でも興味深くあります。それ以上に、そのことを悲しくも思います。あの頃に比べ、お互い変ったのだろうと思います。 さて、この度は少しばかり近況まで。永らくご様子を伺っていないので、もし宜しければ近況をお聞かせいただければ幸いです。ご家族によろしくお伝えください。くれぐれも、ご自愛くださいますように。 平成13年10月26日 |
| 花田久成 |
|
≪ 前のPage ≫
≪ Home ≫
≪ 次のPage ≫
|
|
|